美容レーザーとはレーザーの光熱作用を応用し、スキンケアでは隠しきれないしみや毛穴、たるみなどを改善する施術です。レーザーにはさまざまな種類があり、それぞれ固有の波長を持っています。身近なところにあるレーザーの一例が、太陽光です。太陽光は紫外線、赤外線、可視光線が集まったもので一見すると無色透明ですが、プリズムを通して見ると赤や紫など多くの波長に分かれています。美容レーザーでは可視光線といわれる波長のうち、特定の単波長を人工的に作り出して、増幅させたものを皮膚に照射し、治療を行っていきます。
美容レーザーの比較対象としてよく挙げられるのが光治療です。光治療とは複数の特殊な波長の光を肌に照射し、美容レーザー同様しみや毛穴、たるみなどを改善する施術です。一見すると美容レーザーと光治療にはそれほど大きな違いがないように思えますが、両者には「波長」と「パルス幅」の2つの点で大きな違いがあります。ここでは、それぞれの違いについて詳しく見てきましょう。
波長とは電磁波をグラフにしたときに現れる波の一つ分の長さのことです。私たちの目にでは電磁波の中でも「可視線」と呼ばれる、限られた範囲の波長しか見ることができません。
レーザーと一口に言ってもさまざまな種類があり、「メラニン色素に反応する短い波長」と「体内の毛細血管に反応する長い波長」の大きく2つに分けることができます。
波長が短いほど肌の表面近くの組織に作用し、波長が長いほど肌の奥深くにある深層組織に作用するのです。レーザーは深層組織まで到達できるため、美容レーザーでは表層近くにできたしみやそばかすに加えて、深層にできたあざやタトゥーなども消去が可能です。
一方で光治療では、人体に有害な紫外線をカットした「IPL(Intense Pulsed Light)」を使用しています。IPLはさまざまな波長の光が組み合わさっているため、しみやそばかす、小じわ、ニキビ跡、赤みといった症状を同時に改善が可能です。顔全体のトーンアップや肌質改善が期待できるのも光治療の強みとして挙げられます。一方で、深層組織まで到達できる長い波長の光は含まれていないため、基本的には肌の表面近くの組織への効果に止まります。
パルス幅とは光の照射時間のことで、0.1秒、1秒とその時間は光やレーザーの種類によって異なります。パルス幅が長いと一度の照射で周辺にも光やレーザーが広がりやすく、短いとピンポイントに照射することが可能です。
美容レーザーのパルス幅は短く、深層組織にできたしみに作用したり、照射が広がりにくかったりする特徴があります。周辺組織に照射が広がらないため、周囲の正常組織にダメージを与えることなく、気になるしみやそばかすを除去できるのです。
一方で光治療のパルス幅は美容レーザーよりも長く、表層付近にできたしみの除去に効果的だったり、照射が広がりやすかったりする特徴があります。美容レーザーよりも照射の強さが比較的穏やかで、その分照射後の炎症や色素沈着などが起きるリスクが低いです。このように、美容レーザーと光治療はそれぞれの得意分野が異なります。どちらか一方の治療を受けるだけではなく、場合によっては組み合わせることでさらに高い治療の効果を得ることができるでしょう。
色素に反応 | 水分に反応 | ||||||
使用目的 | ・医療レーザー脱毛 ・刺青やタトゥーの除去 ・シミやあざの治療 | ・シワやたるみの治療 ・ほくろやイボの治療 ・傷跡の除去 ・シミやあざの治療 | |||||
種類 | ・アレキサンドライトレーザー ・ダイオードレーザー ・YAGレーザー ・ダイレーザー(色素レーザー) ・ルビーレーザー ・ピコレーザー | ・炭酸ガスレーザー(CO2レーザー) | |||||