レーザー加工機にとって、集光レンズは非常に重要な部品です。
集光レンズは発振器から発生されたレーザー光を集光して材料に照射するものです。いわばレーザー光の最終出口のようなところですね。
レンズに傷がついていたり、消耗していると、集光性が悪くなり、加工品質に影響が出てきてしまいます。
レンズの不具合分析
レンズスパッタ - レンズの不具合について分析する場合、レンズ上側(CX)とレンズ下側(平凸/CC)に区別して考えます。
レンズ上側(凸面) - 通常、レーザ装置内部の汚れに起因依存します。 主な汚れのタイプは以下の通りです。
シールドされていないビーム伝送システム(ジャバラに開いた穴等)により、微細な物質がビーム伝送システムに入り込み、レンズ表面に付着した結果、不安定な熱伝導を引き起す。
フィルタやエアーセパレーターに起因するオイル/液体汚れ。
レンズ下側(凹面/平面)- このタイプのレンズの汚れは以下の理由によって引き起されます。
正しくないピアッシング圧力(圧力不足)、特に窒素を使用時の加工
加工材表面にヘッドを近づけすぎて、ピアッシングを行った場合
レンズ焦点が合っていない/不十分な切断速度
加工材の品質の問題(主に錆び)
アシストガス圧が低い
ZnSe基板の歪み、レンズ表面のキズ、金属スパッタなどによる熱レンズ効果
星形クラック
集光系光学部品の不均等な熱伝導は、たびたび星形クラックを引き起します。不均等な熱伝導の主な原因は以下の通りです。
レンズ表面の金属スパッタとレーザビームの相互作用
不安定なビーム形状
不十分なレンズ冷却
レンズの汚れ
このタイプの不具合は、レンズ中心部の上部から下部に向かい、完全な貫通穴を形成します。レンズ上部に茶色の残留物を残したり、「虹色」の変色を起こしたりします。この現象はレンズ表面にオイル残留物があったことを示します。このケースの、レンズ不具合はビーム伝送システム内の汚染されたエアパージに起因します。レンズ上面のオイル残留物は、著しい量のレーザパワーを吸収し、不安定な熱伝導(ホットスポット)を引き起こす事により、レンズ爆発に至ることがあります。このような汚れは、ビーム伝送システムにエアパージするコンプレッサに起因する可能性があります。
ビームモード
レンズが割れている状態に近いような大きなクラックがある場合、レンズ凸面の中央から外れた位置に焦げ痕が確認できます。このタイプの焼けは、不安定なレーザビームモードによって引き起されます。歪んだビームモードは、非常に大きなエネルギをレンズの小さなエリアに集光させてしまい、結果的にレンズの爆発を引き起してしまいます。多く場合、ミラーのミスアライメントおよび、ビーム伝送冷却システムに不具合が生じた場合に、不適切なビームモードが生成されます。
物理的なストレス
レンズのマウント装着に失敗すると、光学部品の端に大きなストレスがかかります。これらのストレスは、欠けたエッジ、または境界部分に沿ったキズとして目視で確認できます。マウント装着時の不具合の主な原因は以下の通りです。
マウント表面のバリ
マウント内での汚れ(微細な金属片
インジウムワイヤーが適切に取り付けられていない
ミラーの汚れ
ミラー中央に向かう黒色の変色は、ミラーマウントからの水漏れや、レーザビームパスにおける冷却剤の蒸発またはビームパージ内の湿気を意味します。
不完全なビームアライメント
ビームが平行光ではなくレンズホルダに干渉
ビームマークが中央ではない
不具合が急速に生じた
コーティングの喪失
想定される原因
不完全なクリーニング(残留物)
不適当で粗悪なクリーニング用品
過剰なクリーニング(キズの発生)
粗悪品質レンズ