レーザースキャナーとは、スキャナーから照射されたレーザーにより対象物との間を光が往復し、そこから距離や角度を割り出すことによって、対象物の空間位置情報を取得する計測装置です。
レーザースキャナーは大きく3つに分類することができ、“地上型3Dレーザー”、“航空レーザー”、“MMS(モバイルマッピングシステム)”となっています。
安全かつノンプリズムに大量の点群データを取得できることから、非常に短時間に3次元でのデータを取得できる計測技術のひとつです。
主な使用例としては、設備やプラントメンテナンスといった建築物の管理や工事現場での現況図のドキュメント化、またCADモデル作成が挙げられます。
この他にも地形の計測や土木・維持補修などのトンネル内や既存構造物の変位調査、また犯罪調査における事故現場や犯罪現場の正確な記録方法など、様々な場面で活用されています。
さらには3Dプロジェクトマッピングで投影される面形状測定にも用いられており、身近な環境で用いられるようになってきています。
レーザースキャナーの基本的な原理を説明いたします。
3Dレーザースキャナーにおいて主流であるのは、タイム・オブ・フライトという方式です。
これは対象物に直接触れることなく測定対象物にレーザー光線を照射し、レーザーが対象物から帰ってくるまでの測定時間を測定、その時間から対象物までの距離に換算する方式です。
またこれと同時に、レーザーの照射角度から対象物の座標位置を(X,Y,Z)座標を用いて算出します。
これにより3次元座標のデータを取得することができるほか、RBGカラー座標や反射強度、反射率、さらには角度情報など、各点ごとに多くの情報を得ることが可能です。
レーザースキャナーで取得したデータは専用のソフトで読み込みます。
画面上に座標データが点(ドット)で表現されており、この情報に基づいて測定した現地の状況をパソコン上で再現することができるようになっています。
見えるものすべてのデータを取得することから、漏れなく計測することが可能というのも特徴のひとつです。
レーザースキャナーには主に2つの測定方法があります。以下に2つの測定方法についての概要を示します。
タイムオブフライト(Time of Flight)方式
この方式は直感的に理解出来る方法です。対象物にレーザーを照射し、対象物からレーザーが反射し戻ってくるまでの時間とレーザー照射角を測定し、対象物までの距離を求めます。
フェイズシフト方式
複数の変調させたレーザー光を対象物に照射し、対象物から反射して戻ってきた拡散反射成分の位相差を測定し、対象物までの距離を求めます。
タイムオブフライト方式は精度の高い測定が行えますが、一般にフェイズシフト方式よりも測定時間がより多くかかるという欠点があります。一方、フェイズシフト方式は測定時間は短く済みますが、測定ノイズが多いという欠点があります。